活用事例

-Use Cases-

事例1 製造業

A社は、従業員約180名の製造業ですが、労働災害が多発したため、監督署から安全管理特別指導事業場の指定を受けました。

改善指導の依頼を受けた安全コンサルタントは、過去7年間の災害を分析し、「作業中の物に挟まれ」が69%あることが分かり、下記の対策を提案し、実施しました。

① トラブル時は、設備を停止してから対処するよう、作業標準で明確に定めました。また、作業標準には、「安全のポイント」と、「写真」を多用しました。

② ヒヤリハット摘出運動を行い、トップの決済ですばやく対策を実施するようにしました。

③ 可動部でカバーのないところは、徹底してカバーの設置をしました。

④ 非常停止ボタン・センサー、墜落防止処置などの設備を強化しました。

⑤ 危険予知運動を、作業開始時前に実施するようにしました。

⑥ 管理者(トップを含む)と、従業員全員を別々に、安全管理の能力向上教育を行いました。

⑦ 安全パトロールを強化し、毎月、安全衛生委員会の席で、結果(写真による説明付き)を報告し、緊急度の高いものは、トップの指示で、直ちに実行する体制になりました。

⑧ 第1種衛生管理者資格の受験のため社内教育を行い、多数合格するとともに、安全衛生の意識向上を図ることができました。

この結果、挟まれをはじめとする重大災害が減少し、1年後に安全管理特別指導事業場の指定は解除されました。これは、トップの熱意が非常に強く、全員一丸となって安全衛生管理を進めた結果であり、波及効果として業績向上にも結びつきました。

事例2 一般機械器具製造業

B社は、従業員120名の一般機械器具製造業です。
有機溶剤を使用する塗装業務があり,局所排気装置等の設備の不具合,有機溶剤特殊健康診断結果で有所見者が発生したこと等で衛生管理特別指導事業場に指定され、衛生コンサルタントが事業所顧問となって指導しました。

それらの不具合の背景には,安全衛生活動の進め方がわからない,安全衛生活動がマンネリ化している等,安全衛生活動の低調が起因していることが見受けられましたので、主に下記の項目について指導を行い,改善を実施しました。

① 安全衛生委員会,安全衛生管理体制等の活性化

安全衛生パトロールの報告書は,文字だけでは理解が難しいので,写真や映像で示しながら,各委員が理解し意見が出やすいように,考える委員会として機能していくよう運営を指導ししました。

また,指摘事項については,改善の確認を確実に行う体制にしました。

事務局は,安全衛生活動,委員会等の日程等の連絡だけに終始しがちでしたので,コンサルタントとしてサポートして,安全衛生活動計画等を企画し,日常的な安全衛生活動を支え推進させていく事務局に高めていきました。

② 局所排気装置の効果的・経済的な設備改善

塗装職場の局所排気装置等の設備は,現場の作業性や経費削減を優先したり,業者任せであったため,思うように効果が出ていませんでした。
そこで,現場,保全,スタッフ,業者等,各部署の担当者を集めて意見調整し,技術面・法規面でアドバイスしながら,より効果的な局所排気装置に改善したり,未設置な箇所に効果的で経済的な局所排気装置を新設しました。

③ 安全衛生教育による意識・技能の向上

特に衛生管理は,管理監督者の日常の監督指導,作業者一人ひとりの健康に対する意識が大切ですが,衛生教育は不足気味でした。教育は外部の機関で受けていましたので,全般的な理解はできても,その事業所の個別的な諸問題への理解は不十分となっていました。

そこで,作業者及び管理監督者に対して,コンサルタントとして,その事業場の現場の身近なものを題材として事業所独自の教育資料を作成し,定期的に効果的な教育を実施し,安全衛生意識・技能を高めていきました。

この結果、有機溶剤職場の作業環境測定の評価が第2管理区分から第1管理区分に改善され,健康診断の結果も分布2の有所見者もなくなり,翌年衛生管理特別指導事業場の指定は解除されました。